前橋市 浅川

素晴らしい蕎麦に出会って

はなばん【花番】    蕎麦屋での用い方としては、お客に最初に接する人の意で、注文を取ったり板場へ注文を通したりする人のこと。元々は、はし番とも言われ端番から華やかに花番になったとも… 料理を運ぶことも兼ねるが、お運びさんよりは職制が上で、お店の顔として女性がなる場合が多い。

他の業界ではハイタク業でも用いられ、お客を乗せる順番待ちでトップになった状態を、花番になったと言う。

今年最後の温泉旅行に猿ヶ京温泉を訪れ、素晴らしいお湯と食事と接客を堪能した翌日、赤城山の中腹に在るお店に到着してみると臨時休業の札。ではと、プランBに移行しようとしたものの、ねぇよそんなもの状態となり、微かな情報の記憶を喚び起こし、こちらのお店に辿り着きました。

四人ほどのライダー達と入れ替わりに入店。大きな北向きの窓にはまった障子越しに入ってくる、柔らかな光に包まれた店内は、明るいながらも落ち着いた雰囲気です。

こちらのご主人は、金砂郷に惚れ抜いてるそうで、店内には第17回金砂神社磯出大祭礼の手拭いが、誇らしげに飾られています。それを見て、なるほどと感心しました。このお祭りは72年に一度の開催で、人生で二度見られる人は稀だと言われる奇祭で、この辺りの機微は、解る人には解るんですねぇ。

花番さんに、こちらにといわれ左側奥の、ちょうど麺打ち場の前に位置するテーブルに座りました。

三人で一通りメニューに目を通したものの、金砂郷産の蕎麦を食せるお店に来たからには、それを食べるしかないねってことで、私と相方は共に金砂郷のもりを、娘も天もりの蕎麦を金砂郷そばに変更しての注文となりました。

15分程して出て来たそれは、粒子がハッキリと見て取れる出で立ちで、眺めているだげで風味が伝わって来ました。

一つ手繰ってみますと、芳しく良い香りが鼻腔を擽り、舌で味わうと「ゾワッ」としたものが伝わって来ました。ツッーとはいきませんが、うん美味しい。

当たりが強く酸味を抑えた濃いめの辛汁に付けて味わうと、より味わいが増して作り手の意図する所が伝わってくるようです。美味しさは三人ともに同じらしく、表情が綻んでいます。

こうなると気になるのがもう一つの高山村産の満天そばです。オーダーの時に、花巻(かけは在りませんでした)は一緒に頼んでいましたので、こちらを追加でオーダーします。

程なくしてやってまいりましたこちらの蕎麦は、先程の物より色味が濃く、甘皮もより多く挽き込まれているようです。見た目で何よりも違うのが、瑞々しさをより纏っております。

結論から申しますと、こちらの方が好みに合っていました。手繰った時のもたつきが少なく、粒子感を残しつつ艶やかさを持ったまま滑り込んで来ます。あの松本の美味しいお蕎麦に近いものがあります。ぅん〜これは美味い‼︎   先ほどの金砂郷産のものと比べ、蕎麦としてはこちらの方が満点に近いでしょう。

ここで辛汁につけてとなるのですが、これが先程のものとは違っております。こちらの方が当たりが柔らかくなっています。二種類の蕎麦に二種類の辛汁。出来そうで出来ない細やかなこだわり。美味しくないはずはありません。

さてさて、そうこうしておりましたら、花巻がやって参りました。水菜の様な青菜と一緒に海苔が蕎麦の上で踊っております。これも美味しそうです。蕎麦は高山村産のものらしく、甘みを抑えた甘汁と良く絡んでます。そこに海苔の風味がのってくるのですから堪りません。茹で具合も良く、甘汁の中でも無用に柔らかくならない仕上がりでした。そう言えば、松本のお蕎麦屋さんもかけそばが無かったのは偶然の一致でしょうか?

満天そばと花巻の二つは、三人の間をぐるぐると回り、それと同じくして蕎麦湯も頂きながら、それぞれの舌を楽しませたところでご馳走様となりました。

お勘定を済ませて表に出ますと、美味しい蕎麦を堪能できた喜びのはたに、何やら少々違和感を覚えました。その正体は、花番さんの接客全般です。お店に居た約45分の間、何か表情に精彩がなく、勿論我々には一度も笑顔が有りませんでした。最初に通された時から何となく。オーダーが終わった時のメニューの下げかた。追加でオーダーをした時も?マークが。最後には繁盛店にも拘わらずレシートも出ない。確かに、大したオーダーもせずに45分もの間、テーブルを占有してしまう面倒なお客かもしれませんが。蕎麦が大変美味しかっただけに残念です。花番さんの立ち位置も、暖簾の向こうの調理場に一歩入った場所なのも、陰から観察されている様で良いものでは有りませんでした。ま、あくまでも私見ですので、気にされない方が大半だとは思いますが。

この後、年が明けて、蕎麦webの主宰である我らが片山虎之介さんが取材に訪れ、奇しくも素晴らしい蕎麦と評されたことを、ご主人がツイートされていましたが、流石の虎之介さんでも普段の接客迄は分からないことでしょう。この業界では、虎之介さんはあまりに有名ですから。

美味しい蕎麦を求めるかたは、細かい事を気にせずに、一度足を運ばれることをお勧めします。

一、お店の雰囲気を味わう 7/10
二、冷たい蕎麦だけを味わう 18/20
三、蕎麦つゆに付けて味わう 19/20
四、温かい蕎麦を味わう  18/20
五、蕎麦湯を味わう 3/ 5
六、蕎麦の値段 7/10
七、技術とサービス  11/15
合計 83/100

手打そば  浅川

027(231)7294
群馬県前橋市日吉町3-41-12
関越自動車道前橋ICより車で15分
営業時間 11:15~14:30 17:30~21:00
定 休 日 毎週水曜日(火曜昼のみ)

2016年12月25日

吉岡町 蕎麦茶寮 きむら

子供達にも優しい本格派

上毛三山の一つ、榛名山が段々と近くに見えてくると、目指すお店はすぐそこです。群馬県のほぼ真ん中の吉岡町のこれまた真ん中近く、緩やかな坂を登って行きますと、左手に見えてきました。

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桜の満開宣言が出た翌日。駐車場のソメイヨシノが見事な姿で迎えてくれました。当日は孫達を連れて、草津温泉への途中。当初は予定に入れてなかったのですが、グルメサイトで調べていますと、キッズにも暖かい店であることが書き込まれています。自分自身、子供のことだけではなく、静かに味わいたいと正直思った事があります。

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そんなこともあり、少し緊張しながら、面白い意匠の暖簾をくぐり店内へ。まず目に入ってきたのが、大きなテーブルに大きな窓。どちらかと言えば、イタリアンレストランかカフェの様な空間でした。この時点では、右手奥のお座敷スペースの存在には気が付かず、お子さんがいらっしゃるなら、奥へどうですかと言われて初めて気が付いたほど、隔たれた作りになっています。奥に上がりますと、こちらは和を基調とした落ち着いた空間で、その隅に、一般の家庭では中々買えない様な豪華なオモチャが沢山有ります。

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子供達なりに控えめに興奮しつつ、早速飛びついて、黙々と遊んでいます。

注文は、せいろ蕎麦を2枚(700円+税)玄挽き蕎麦(700円+税)かけ蕎麦(800円+税)それに、春の天ぷら盛り合わせ(500円+税)となりました。

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imageせいろ蕎麦は、若干平打ち気味でつながりよく持ち上がり、近付けますと、微かに蕎麦の香りがし、滑らかな舌触りを感じながら歯を当てますと、意外にも強めに跳ね返し噛み応えがあります。粘りが出ているのとは違い程よく仕上がっていました。

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玄挽き蕎麦も、同じような打ち方で、濃い目の色味にホシが散らばり、穀物のザラつきを感じながらも連なり良く喉に滑り落ちます。玄挽きらしい風味があり、歯ぬかりなく切れる歯応えもまた良しです。

辛汁は、鰹がしっかりとその存在を主張しながら、バランスを取っているものでした。せいろ玄挽き共に蕎麦を上手に引き立ててくれます。

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かけ蕎麦は、この季節ならではの薹立ちした青菜が彩りを添えるもので、麺は玄挽きが放たれており、少しづつ柔らかくホロッとなっていきます。これが美味しいですよねぇ。甘汁はその見た目ほど濃い味ではなく、最後の最後に甘味を感じさせるものでした。透明感に少し欠けましたが、かけ蕎麦全体を良く纏めていて美味しかったです。

こちらでは、石臼引き自家製粉をされているそうで、せいろは赤城産の深山ソバ、玄挽きは北海道産を使用し、近々玄挽きのそれは岩手産に代わるそうです。せいろと玄挽きのソバを違えていたと聞き、なるほどと、大きく頷きました。

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天ぷらの上がり具合も、薄めの衣でカラッと揚げられ、たらの芽、アスパラ、筍とそれぞれ美味しく頂きました。それらを併せて、トータルでみて中々本格派のお蕎麦を、美味しく頂くことができました。

当日は、キッズスペースには大変助かりました。こんな気遣いの出来るご主人ですから、出て来るお蕎麦も美味しいわけです。我が孫の第一声も「このお蕎麦美味しいね」でした。それでも、我々が帰り支度をして、子供達がオモチャを片付けまさに帰らんとした時に、隣に居られた中年のカップルの女性が、明らか迷惑そうに振る舞ったのが残念でした。子供達はかなり良い子にしてましたよ。真のお蕎麦好きなら…。お子さんが嫌いなお客様は、テーブル掛けのスペースのご利用をお勧めします。

帰り際に相方が気が付いたのですが、このお店の人気の一つに、リーズナブルなランチメニューがあるようで、殆んどのお客さんは天丼セットなどを頼んでいました。

imageお蕎麦も美味しいのですから、満足度は高くなる筈です。

フロアースペースの大きな窓際の席は、駐車場の満開の桜の艶姿が堪能できそうで、今度は、あの席に座りたいねと相方が言っていましたが、私も同感です。
桜の時期ではなくとも、蕎麦だけで充分に楽しめるお店としてお勧めします。

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一、店の雰囲気を味わう  7/10
二、冷たい蕎麦だけを味わう  17/20
三、蕎麦つゆを付けて味わう  18/20
四、温かい蕎麦を味わう  17/20
五、蕎麦湯を味わう  3/ 5
六、蕎麦の値段  8/10
七、技術とサービス  12/15
 合計 82/100

蕎麦茶寮  きむら

0279(55)0887
群馬県北群馬郡吉岡町北下522
上越線八木原駅より徒歩42分
営業時間 11:30~14:00 夜は予約営業
定 休 日 毎週水曜日

2016年4月2日