毛呂山町 田中屋

名店揃いの田中屋

県内唯一とされる流鏑馬で有名な、毛呂山町の出雲伊波比神社(いずもいわいじんじゃ)の北側に重厚な佇まいでその店は在る。今迄何度か足を運んだのだが、その度に入り損ね、漸く伺うことができた。

image

ちなみに、当日は松本から帰り着いて、まだ自宅にも戻らずに伺ったわけで、二日間の蕎麦巡りの締めともなったわけで。

imageまず、立派な店構えに感心しながら広い駐車場に車を停め店内へ。

image

ゆったりとした玄関から右手へと続く三和土の両側にテーブルが並び、左手には大き目のお座敷がある様子で、我々は右手の窓際の一番奥に席をとった。

松本からの運転のご褒美に蕎麦前のお許しがでて、メニューを開く。味噌田楽(400円)もつ煮込み(650円)たこわさ(300円)を注文し、飲み物はキリン(600円)とノンアルコール(350円)で乾杯となった。

image

image

フライングで一本減っている。

imageimage

あれこれとつまみながら楽しんでいると、先ほどメニューで目に留まった地酒の琵琶のさざなみが有ったなと思いだし、原酒の冷酒(1000円)をお願いした。

image

これが中々の逸品で、すっかり上機嫌でいよいよお蕎麦を頂くことに。注文はせいろと荒挽き蕎麦。

ほどなくして、まずはせいろ(630円)から。

image

2段に重ねられた丸い蒸籠に盛られて登場。あれっ、大盛り?との表情を見て取ってか、女将が「せいろ一人前ですよ」と。嬉しい演出にニコッとなりながら相方と一枚ずつ。外一で打たれたそれの色味は薄い茶色で、ほぼ縦横同じの麺線に切り分けられていて、やや細打ちでしょうか。

image

香りはあまりなし。自分の体調も含め、様々な条件があるのでやむを得ないところか。それを口に運ぶと、滑らかな表面を通して、冷たく締まった感触が先ず伝わって来る。かなり歯応えを感じるものの、一線を越えるとプリッとしながら切れていく。歯離れが良いとでもいうか。ただ硬く締まったものではなく、柔軟性も残しながらのしなやかなコシは、只々見事。

続いては荒挽き蕎麦(680円)。これは、四角い蒸籠に盛られ量的にはせいろの二枚からすると、やや上品な盛り。とすると、先ほどの二枚重ねが不思議。その真相は次回の楽しみ。

image

こちらは生粉打ちで、せいろに比べ若干色味を増しているが、やはり薄い茶色。麺線の仕上がりはほぼ一緒だが、表面には穀物感が現れ、飛んでいるホシの数と色味からすると、丸抜きだけではなく荒挽きを合わせ、それを挽き込まれたものか。まさに、そこが荒挽きたる所以と納得。

image

香りはまずまず。歯応えを楽しみながら、麺線の中にある荒挽きならではの穀物感を感じ取るのは蕎麦好きの特権。ただ、荒挽きといっても武骨な感じはなく繊細な荒挽きとでも表現したい。

ややもすると、何も付けずに蕎麦だけを味わってしまいたくなるが、ここは辛汁も利いてみることに。やや甘みがあって、尚且つキレのある醤油感の強い濃い目の仕上がりで、細打ちの蕎麦を潜らせると、良く絡んで上手に引き立てている。

image

薬味の葱は、自分としては長葱の白身が好みで、山葵については及第点であるが、大根おろしも辛味があれば尚良しとしたい。

ここでかけを注文。女将が「どちらにしますか」と。これは外一か荒挽きを選択することが出来る様子。一瞬だけ迷ったものの、順当に外一でお願いする。荒挽きのかけは最高に魅力的だが、これまた次回の楽しみに。

image待たされることなく運ばれてきたかけは、小ぶりな器によそられ、これぞ田中屋系の証しと秘かにおもっている。

蒸籠に盛られた状態では、外気に包まているものが、甘汁に包まれているかけの状態は、言わば湿潤100%なわけで、だからこそ見えてくる本質もある。

image

ここでも直ぐに水分を含み過ぎることなく、張りとコシをしっかりと残して手繰られる様は、まさに上質なかけそのもの。せいろの時には滑らかな表面であったのが、若干甘汁を含んでややザワッとなるところなど、先程の表現とは矛盾しているようであるが、バランス良く変化していく過程がかけの醍醐味であり、矛盾なき美味しさと言えるもの。
甘汁は、色味も味も薄いなかに抑えた甘みがあるもので、出汁感もしっかりとしたものである。
野中でも、ちちぶ田中屋でもそうであったように、かけの器の中には蕎麦と甘汁だけ。この潔さが素晴らしい。

蕎麦湯は釜湯とみたが、あまりあれこれとは聞き辛く、これまた次回以降のお楽しみ。

開業して30年、ちちぶの田中屋さんは兄弟子であること、野中さんは弟弟子であること、倅さんがお店を継ぐ予定になっていることなど、気さくに女将と会話をすることができこれにも満足。相方も何も言わずとも再訪する気が良く伝わってきて、かなり気に入った様子。余程美味しかったのでしょう。
一時間をゆうに越える時間を過ごし、本当に満ち足りた気分で、お店を後にした次第である。

一、お店の雰囲気を味わう 6/10
二、冷たい蕎麦だけを味わう 18/20
三、蕎麦つゆを付けて味わう 18/20
四、温かい蕎麦を味わう 18/20
五、蕎麦湯を味わう 3/ 5
六、蕎麦の値段 8/10
七、技術とサービス 12/15
合計 83/100

もろやま  田中屋

049(295)3335
埼玉県入間郡毛呂山町大字岩井西5-5-18
東武越生線東毛呂駅より徒歩8分
営業時間 11:00~20:00 第二水曜は17:00
定 休 日  毎週木曜日

2016年10月10日

毛呂山町 文七

蕎麦の香りを楽しめました

蕎麦の食べ歩きを始めてから、無性に蕎麦が食べたくなることがあります。習慣性と言いますか、何と言いますか。ここで一つ問題が。食べたくなってしまうタイミングです。お蕎麦屋さんの営業時間は、比較的限られています。まして夕方からの時間帯は、営業しているお店がぐっと少なくなります。
この日も、ホームセンターでの買い物後、夕刻が迫る中、これからお蕎麦を食べたいねってことで、グルメサイトの情報を元にとあるお店に行きますと、既にシャッターが降りております。さてさて、と記憶を頼りにサイトで確認後、次のお店に行きますとこちらも真っ暗。時間は19時。半分諦めかけた時に、はたと思い出し、こちらのお店に。

image

無事に電気は点いておりましたが、手打ちだったかどうか定かではありません。と、お店の入り口の脇に麺打ち場が在ります。嬉しいですね~。今日もまた、新たな蕎麦に出会えると思うと顔が綻びます。

image

店内に入りますと、右手が厨房で、左手の三和土から奥のお座敷に続く作りで、お座敷はゆったりとしていて、家族連れも歓迎の、まさに街のお蕎麦やさんです。飾り気をぐっと抑えた店内の三和土の一番奥のテーブルに、我々は陣取りました。

メニューを見ますと、温かい蕎麦にかけがありません。すべて種ものです。ただ、セットの蕎麦をかけにできると聞き、旬彩天ぷらセット(920円)と、せいろの大(755円)をお願いしました。

image正味10分程で運ばれてきました。せいろの蕎麦を見ますと、甘皮のホシが所々に入った薄茶色をしていて、水切りは程々な感じ、平均的な太さのやや平打ちです。

image

手繰って近付けますと、蕎麦の香りが良く漂います。これには少し驚きました。北海道産の二八ということですが、条件が揃ったのでしょう。口の中に運んだ印象は柔らかです。茹で過ぎとか伸びているとかではなく、柔らかに仕上がっています。加水の加減と、手早く練り上げているのではと思います。香りと相まって、美味しさを充分に楽しめます。
辛汁は、少し甘めで出汁がしっかりと効いた味わいでした。

image

セットメニューのかけそばは、ホロホロッとしていて柔らかさを存分に発揮しています。その蕎麦が放たれている甘汁は、色味も薄く、味わいもさらに薄いものですが、しっかりと出汁の風味が味わえました。蕎麦の柔らかな持ち味と良くマッチしております。

image

セットの天ぷらは、カラっと上がっており美味しく頂きましたが、何より、具材の量を抑えて価格が高くならない工夫がみられたのが良かったです。鶏そぼろ丼と付け合せの蕗も良いお味でした。

こちらのお店の性格は、豊富なメニューと低めの価格設定が語っている様に思います。色々なお客さんに満足して貰いたい。石臼を手挽きで回し、プレミアム感たっぷりに最高の蕎麦を提供する。蕎麦好きが、群がるように列をなす。そんなお店とは対極にあるとは思いますが、訪れたお客さんが笑顔で帰る。そんなお店だと感じました。お薦めします。

一、お店の雰囲気を味わう  6/10
二、冷たい蕎麦だけを味わう  15/20
三、蕎麦つゆを付けて味わう  15/20
四、温かい蕎麦を味わう  15/20
五、蕎麦湯を味わう  3 /5
六、蕎麦の値段  8/10
七、技術とサービス  11/15
 合計  73/100

文七

049(295)2660
埼玉県入間郡毛呂山町岩井西3-11-17
東武越生線東毛呂駅より徒歩10分
営業時間 11:30~15:00 17:00~20:00
定 休 日 毎週火曜日

2016年5月6日

毛呂山町 蕎麦料理すみや

 

心意気が大切
いまのネット時代、たいていの情報は直ぐさま手に入ります。私も蕎麦情報はネットで仕入れることが多いです。ここにご紹介するお店は開店一か月ということで、ネットが無ければ、このタイミングでは殆どたどり着かないということですね。今回は、珍しく日没後の訪問となりましたので、周囲の感じはハッキリと分かりませんが、記憶を辿りますと、越辺川沿いの堆積地で見通しの良いロケーションであったと思います。
IMG_2179

    ゆったりとした駐車場からお店に向かいますと、素敵なライティングがお出迎えです。これは、暗くなっていたからこそで、普段には無い高揚感といいますか、凄く良い演出でした。また、駐車場からぐるっと表に廻る形で入り口があるのも、鷹揚な感じが出ていて、これも好ましく思いました。

IMG_2183店の雰囲気は、モダン和風とでも言いますか、落ち着いた色合いの壁と木目の羽目板、そこにお洒落な照明が置かれて、上品な空間を創り出しています。

IMG_2199

迎えてくれた若女将は和服での出で立ちで、気合いが入ってます。良いですよ。

本日は、時間も時間でしたので蕎麦前をたのしみました。小鉢はのらぼう菜と油揚げの胡麻和え。早春の味ですね。

IMG_2193

注文は、おせいろ(700円)辛みおろし(950円)の二つをまずお願いしました。

IMG_2202

    運ばれてきたお蕎麦を見ますとやや不揃いに打たれてはいるものの、よい表情をしています。薄っすらと甘皮のホシが入り、色味も薄茶色でよろしく見えます。

IMG_2208

口に運びますと、滑らかで且つ噛み応えがある外一らしい味わいで美味しいです。ただ、少しだけ短めだったのが気になったところです。

辛汁の印象は一言で言うならフラットです。底に這った味かなと相方に言いますと、解らないわと言われました。さらに私の舌には、ほんの少し、かすかに焦げっぽさを感じました。これは、天性のものを持たない私の味覚を、これからの鍛錬でより確かなものに近付けながら、再び味わいたいと思います。でも、美味しいんですよ。辛味ダイコンを辛汁に少量投入し、蕎麦に絡めて頂きますと、鼻から蕎麦の香りと共に黒丸大根の風味がフワッと抜けて、良いですね。

せいろの上が八分目ほどになった頃にかけそば(700円)をオーダーしておきましたが、せいろがすっかり片付いてしまうと、メニューにおかわりせいろとあったのを思い出し、相方にいける?っと聞きますと、うんとの返事で若女将におかわりせいろ(450円)を注文。少し驚かれたので、これで終わりにしますからと笑いを取ってしまいました。

IMG_2215

さて、かけそばより先におかわりがやってまいりました。二人揃って口に運びますと、思わず目が合います。最初のせいろより、明らか美味しいんです。より程良く締まったシメ具合が、断然美味しいんです。この辺りのバラつきが少なくなって行くのも、楽しみの一つですね。

IMG_2219

かけそばにつきましては、甘汁に入った蕎麦の具合がよろしく、中々の仕上がりです。直ぐに甘汁を吸って伸びないんですね。甘汁は雑味の少ない透明感のあるもので、鰹節の豊かな風味がさらに引き立てます。

お会計の時に、玄ソバのことをうかがうと、毛呂山産の物と茨城産の物をブレンドしていますとのことでした。また、これから蕎麦前も充実させていく予定とお聞きして、再訪が楽しみになりました。
二人で都合四人前を平らげ、すっかり満ち足りた気分で帰路につきました。

新しくスタートを切った部分を除いても、美味しいお店です。お勧めします。

一、店の雰囲気を味わう  8/10
ニ、冷たい蕎麦だけを味わう  16/20
三、蕎麦つゆを付けて味わう  15/20
四、温かい蕎麦を味わう  16/20
五、蕎麦湯を味わう  3/ 5
六、蕎麦の値段  7/10
七、技術とサービス  12/15
 合計 77/100

蕎麦料理 すみや

049(290)3260
埼玉県入間郡毛呂山町大類604-5
関越道坂戸西スマートICより5分
営業時間 11:30~15:00 17:00〜21:30
定 休 日   毎週水曜日・第三火曜日

2016年4月3日