台東区 並木藪蕎麦

江戸蕎麦を堪能する

気持ちの良い秋空の広がる日曜日。老舗の味を味わうべく、浅草へとやって参りました。お目当は、江戸三大系譜の一角である藪。その中でも御三家とされる雷門前の並木藪を訪ねました。

img_4792開店25分ほど前に到着しますと、先客がお一人立っておりました。並ぶことに意義は有りませんが、一先ず行列を形成します。その後はどんどん列が伸びていきました。

img_4794 img_4795定刻より6分前に開店となり、順序良く店内へと。行列を全て飲み込んだところで、店内はほぼ満席。勿論どのテーブルも相席です。

img_4797

店内の雰囲気は、よき昔をしのばせる作りになっております。掃除も行き届いております。メニューは壁に下げられた札のみで、これまた乱雑とは無縁の空間作りに、大いに貢献しています。

オーダーはいつもの通り、ざるそば(750円)をそれぞれ一枚と、かけそば(750円)を一杯としました。

店内は端番の方が5名でフル回転です。その端番さんそれぞれの帳場への通しに、特徴ある節まわしがあって、神田の藪ほどではありませんが、中々よろしい雰囲気です。

開店後すぐということもあってか、7分弱という早さでざるそばの登場です。

img_4801

四角い木製のお盆にコンパクトに並べられたそれらは、一つの完成した美しいかたちをしています。スペースが限られているにも拘わらず、そば徳利を省略しない姿勢に好感が持てます。

img_4803

笊に盛られた蕎麦は、やや細打ちで艶やかな面持ちをしております。早速利いてみますと、芳しく香りを纏っています。手繰りますとしなやかな曲線を描きながら、やや長めの姿を見せます。辛汁を付けずに先ずはそのまま。見た目通りの優しい舌触りで楽しませた後、モタついた振る舞いは一切見せずに喉をするりとおちていきます。江戸そばの完成形の一つとされるこの蕎麦。納得です。

辛汁は、どのメディアを見ても語り尽くされた感はありますが、やはり強烈に当たりの強いものでした。そして深いコク。あのぐりんでるさんの一段上をいくものです。味に突出したところがなく、しいて言えば、やはり醤油感が強いということです。この個性は見事です。

手繰った蕎麦を、そば猪口の辛汁に教科書通りに少しだけつけ、それを啜っていきますと、先ずは蕎麦の風味が広がり、辛汁に浸されたところの境にくると変わってゆく味を感じ、すべてが口に収まると、濃い辛汁と蕎麦の風味が渾然一体となり、三段階に楽しませてくれます。ただ、自分にとってはあとほんの数センチ蕎麦が短ければ文句なしです。

ちょうどよい頃合いにかけがきました。待たされることなく、早過ぎることなく。こんな通ぶるお客が多いのでしょう。

この時、蕎麦湯を頂いていないことに気付き、また辛汁もまだ味わいたかったので、端番さんがざるそばのお盆を下げようとするのを待って頂くようお願いして、その方の表情を曇らせることになってしまいました。後から考えれば、お盆だけでも下げてもらえば良かったのかなと。老舗はルールに厳しいですね。

img_4809やや大きめの器に(本当にややですよ)ゆったりと甘汁の中に放たれ、何ものらないかけ本来の姿を見せております。お盆に添えられた薬味が、ざるそばと同様に七味ではなく山葵ってのが粋ですね。この山葵が、おろしと粉を合わせたようなもので、ツンとくる中々良いものでした。

甘汁は、ある面辛汁と同じく、味に突出したところがなく仕立てられています。甘みもフラットで。やや薄く感じますが、それを出汁感が程よく補っています。手繰りますと、細めの蕎麦が柔らかく、あくまで優しく、フワっと歯に当たり、そしてフツっとほぐれます。ただ、いつもなら飲み干してしまう甘汁を、今日は少しだけ残してしまいました。

img_4812

特徴的な急須に入った釜湯と思われる蕎麦湯を頂き、早々にお会計です。

ここでまた、この店ならではの為様に出くわしました。各々が蕎麦を食した席でお会計を済ませるかたちは初めてです。上がり框でやり取りしているお客さんも。それぞれ、端番さんが帳場との間を行き来しています。押し寄せるお客さんを捌く方法として、確立されている昔ながらのものなのですね。

人気の老舗だけあって、全体的に騒ついているのは致し方ないこと。この店の良さは、多少の喧騒には揺るがないものなのだと思いました。

最後に恒例のトイレチェックは、見事に満足いくものだったことを報告してレポートを終了します。

一、お店の雰囲気を味わう 9/10
二、冷たい蕎麦だけを味わう 17/20
三、蕎麦つゆを付けて味わう 18/20
四、温かい蕎麦を味わう 17/20
五、蕎麦湯を味わう 3/ 5
六、蕎麦の値段 7/10
七、技術とサービス 12/15
 合計 83/100

並木  藪蕎麦

03(3841)1340
東京都台東区雷門2-11-9
地下鉄浅草駅より徒歩3分
営業時間  11:00~19:30
定 休 日  毎週木曜日

2016年11月6日

練馬区 野中

人気店の味に偽りなし

土曜日の夜。所用の為、都内で夕刻を迎えました。さて、今夜の食べ歩きは何処へ?となり、折角なら普段行けないお店にということで、超有名店の野中に伺うことにしました。
到着したのが、夜の帳がすっかり下りた19時。お店は、住宅街でもあり、黒を基調とした外観と相まって、しんと静まり返った感じです。

image

お店の入り口に近づき、暖簾をくぐる辺りから、繁盛店らしい店内の雰囲気が伝わって来ました。店内は八割がたうまっておりました。
我々は、お座敷の四人掛けのテーブルへと案内されます。絨毯の感触が足から伝わって来ます。総てが柔らかで、硬質な感触はありません。座った席からの印象は少しレトロがかった和風といった落ち着いてお蕎麦を食せるものでした。

image注文は、夏色天せいろ(1550円+税)せいろ二枚重ね(950円+税)だし巻き玉子(700円+税)をお願いし、ピンク色をした黒豆茶を頂きながら、しばしの間を楽しみます。

image

さて、お客さんの入り具合の割りに、待たされることなく注文の品がやってまいりました。だし巻き玉子のふわっとした食感と、コクのあるとろみを味わいまして、天せいろとせいろを頂きます。

image

こちらの蕎麦を先ずは一言で表現すると「ふくよかなコシ」でしょうか。

image

最近、コシが強い余り、柔軟性を犠牲にしている蕎麦にちょくちょく出会います。それらとは一線を画す仕上がりで、同じ麺の断面の中に柔らかさと強いコシが同居しているとでも言いますか、口に含んだときに、全体でフワッと押し返してきながら、コシがあって、喉越しが良いと言った感じです。

image

それを頂く辛汁は、甘みのコクが立った味わいです。お蕎麦と良く合っておりました。
蕎麦湯が出されたタイミングより一呼吸おいて、おかわりのかけそば(650円+税)を注文。蕎麦湯と辛汁のハーモニーを楽しんでいますと、かけそばがやってまいりました。

image かけそばの甘汁は、最後に甘みの余韻が感じられる仕立てで、透き通ったコクを感じるというよりは、優しい味でした。そこに放たれた蕎麦は、周りから柔らかくなりながらも、大きなコシが麺の中に保たれている様な印象で、美味しく頂くことができました。
天ぷらは、塩で頂く様になっており、野菜への興味も大な私は、これとこれとこれは、自分の畑でも今年の収穫が楽しみだななどと思いつつ、サクッと美味しく頂きました。

image

そのお塩と一緒にテーブルの上に、黒七味と八味仙と言う二つの薬味が乗っており、特に山椒の入った黒七味を、だし巻き玉子にかけて頂いたお味を、相方がいたく気に入ったようでした。

全体を通して、やはり人気店なのも良く頷ける、美味しいものを頂きました。当日は、表に玄ソバの情報が出ておらず店員さんに伺うと、店主さんに聞いてもらえ、「茨城のさるしまですがわかりますか」と言われました。確かに何処産の物でも、味の見分けなどつくレベルでない自分の様な者が、いつもいつも聞いているんだろうなと、迷惑かけて済みませんと心の中でつぶやきながらも、確か茨城はさしまだったよなぁ~と思いながらも「有難う御座いました」伝えました。人気店だけに、店員さんの立ち振る舞いが自信に満ちているのは良いのですが、何処となく一見さんに対いする接客に違和感を感じるというか。例えば、超高級ブランドのお店の店員が、勘違いで自分自身が高級だと思ってしまうあれです。それに近い、そんな印象を持つのは私だけなのかも知れません。

蕎麦を作る、最高の技能を味わえるお店として、お勧めします。

一、店の雰囲気を味わう  7/10
二、冷たい蕎麦だけを味わう  18/20
三、蕎麦つゆを付けて味わう  18/20
四、温かい蕎麦を味わう  18/20
五、蕎麦湯を味わう  4/ 5
六、蕎麦の値段  7/10
七、技術とサービス  12/15
合計 84/100

玄蕎麦 野中

03(3577)6767
東京都練馬区中村2-5-11
西武池袋線中村橋駅より徒歩10分
営業時間 11:00~14:30 17:00~20:00
定 休 日 毎週月曜日 第2・3火曜日

2016年4月23日