栃木市 さとや

人気のそば屋エリアで食す

この地に初めて足を踏み入れたのは、かれこれ30年前のこと。得意先の人に家族揃って連れて行って貰ったのが最初でした。
それ以来、何度か足を運んでいますが、蕎麦の食べ歩きを始めてからはお初ということになります。
このエリアには、さほど離れずに何軒ものお蕎麦屋さんがあり、まさに軒を連ねています。そんな中でも一番手前に在るお店が立地上一番人気の様子。かく言う私も、過去訪れた際はすべてそちらのお店でお蕎麦を頂きました。
思い起こすに、その繁盛ぶりたるや蕎麦屋のそれを超えていて、訪れる度に増築を重ねている印象が強く残っています。それはもう、訪れる人をガッポリ根こそぎって感じでしょうか。店内に入ると、お土産物がズラッと並んでいて、お蕎麦屋というより蕎麦の駅といった雰囲気で、こんなところが、真の蕎麦好きと言うより一般の人に受けていて、この地が人気スポットになっていった要因の一つかもしれません。
その店の肝心の蕎麦ですが、おおらかな雰囲気で、一般の方には田舎風だよって伝えるのが一番イメージが湧きやすいのかなと。10年以上前に訪れた時には、小柄な女性が麺打ち棒を馴れた手つきで操っている姿を、凄いなぁと見ていたことを記憶しています。あれだけの数のお客を、手打ちでさばくのには、入れ替わり立ち替わりで相当な打ち手の人数が必要なのは、想像に難くありません。

さて、今回は、そのエリアの中から興味をそそられつつ、今後も訪れる機会は限られることでしょうから、舌と喉を喜ばせるお店を、この一年でメッキリ腕を上げたネット検索で決めたのがこちらのお店でした。一言でネット検索と言いましても、食についての口コミから本来の姿を見出す作業は、少しコツを要するもので、ましてや蕎麦の口コミは、行間の間に潜むものまで読み解いていかなければ、美味しい蕎麦には巡り会えません。当日は、娘夫妻と塩原温泉に一泊しての帰り道。子供連れで8人という要素も加味して検討しました。

エリアの中程に位置するこちらのお店は、駐車場からなだらかな階段を登った、小高い場所に在ります。元々が山間の地域ですから、格段に眺望が良いと言うこともなく、見晴らしが良いと言う感じです。

引き戸を開け玄関に入りますと、さすが人気エリアのお店だけあって、両脇にぐるっと下駄箱があり、大箱のお店を予感させます。靴をしまい、板敷きのスペースに上がりますと、左手に大きなガラス窓からたっぷりと日が差し込む、明るい板の間が広がり座卓が並んでいます。我々は右手奥の一段上がった、四人がけの座卓が7つほどある座敷に通されました。流石人気エリアの繁盛店です。ここよりも狭いお蕎麦屋さんを私はいくつも知っています。こちらは個室としても利用可能な様子で、採光もまずまずです。

オーダーは、この地特有の大笊に盛られた一升もり(3300円)と、海老天(650円)三つに季節天(650円)を一つ。そしてかけそば(680円)一杯となりました。
普段頼み慣れていない一升もりの量がどの程度のものなのか、掴みきれないままオーダーをしてしまいましたが、4人~5人前との説明書きをよく読めば良かったなと反省しました。いくら子供が4人とはいえ、蕎麦好きの孫達と食欲旺盛な娘夫妻ですから、もりかけ併せて都合6人前の蕎麦しかなく、結果的に腹ふさぎ程度のお昼になってしまいました。

それはさておき、こちらは一茶庵の流れをくむお店ということで楽しみにしていた蕎麦の登場です。

蕎麦は、この地のイメージを覆すもので、丁寧な仕事で麺線に仕上がっておりました。

殻をきちんと取り除き、細やかな肌理で引かれたそれは、甘皮のホシが所々に飛んだ艶やかな表情をもっている細打ちの蕎麦です。口に運びますと、ツルっとした舌触りで、優しくコシが立っていて喉越しも上々です。この繊細な感じが、この地のイメージからすると、おやっと思ったところなわけです。素人の私などが打ちますと、硬めなだけの蕎麦になってしまい、この繊細な感じには未だ未だ打てません。

続いて辛汁を利いてみますと、やや酸味があり、かなり甘みを抑えた、中程度の辛すぎないあたりといったところでしょうか。

お店の紹介を読みますと、かえしにはグラニュー糖を用いているとのこと。基本的に使用量自体が抑えられてるにせよ、その辺りも関係しているのかも。確かに、甘みとコクとは親戚関係みたいなもので、この辺りの駆け引きは、プロのなせる技なのでしょう。充分にまとまりのあるそれに浸して啜りますと、ツッツッと良い具合に手繰るとこが出来ます。喉越しも上々。美味しく頂けました。

かけそばは、写真を見ての通り、若干窮屈そうな感じで出てまいりました。もりと同様の麺に、こちらも甘み抑えめの甘汁がかけられたもので、美味しかったです。惜しむらくはつゆと麺のバランスを、もう少しゆったりとしていただければ良かったなと思います。

大箱のお店にありがちな、蕎麦屋としての細部の詰めの甘さというのは少しありましたが、これだけの席数ですから致し方ありません。それでも大雑把なところもなく、最後まで楽しく過ごすことが出来ました。

玄関ホールでは、入る時には気が付かなかった創始者片倉康雄氏の写真や、大きなこね鉢等が飾られ、この店が一茶庵系であることを改めて感じながら、孫の手を引き、なだらかな階段を駐車場へと下って行きました。

美味しかったねの声が車内に心地良くのを楽しみつつ、幸手の桜祭りへと車を走らせ、三分咲きの桜を堪能したのち地元へと帰り着いたところで夕食を食べにファミレスへ。お昼が腹塞ぎ程度になってしまったことを気にしていた私は、ファミレスで、お腹いっぱいの子供や孫達を見ながら、何と無く安心をしてビールを傾け、この旅を締めくくることが出来ました。

一、店の雰囲気を味わう 7/10
二、冷たい蕎麦だけを味わう 16/20
三、蕎麦つゆを付けて味わう 16/20
四、温かい蕎麦を味わう 15/20
五、蕎麦湯を味わう 2/ 5
六、蕎麦の値段 5/10
七、技術とサービス 11/15
合計 74/100

そば処 さとや

0282(31)0919
栃木県栃木市出流町179
東北道栃木ICより車で19分
営業時間 11:00~17:00
定 休 日 毎週火曜日

2017年4月2日

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