飯能市 よりや

熟練の技を堪能

飯能市街は、昔から道が細く込み入っていて、南北に抜けて行くのにかなり遠回りを強いられる印象が強く残っています。今回のお店の在る地区の区画整理事業が始まったのは30年前になるらしく、確かに、当時からあまり車を乗り入れたくはない場所だったと記憶しております。

そんな場所に在るこちらのお店。

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検索していて何度か引っかかり、軽く目を通していて気にはなっていました。

当日は、狭山市に在って、以前男性向け情報誌にも取り上げられたことのあるお店も気になっていたのですが、温かな汁ものをやっておらず、気持ちが離れてしまい、また今度にすることにしました。
私の経験では、冷たい蕎麦だけで凄く美味しい店も有りますが、かけそばを出していないお店の大半は、きちんと修行を積んでスタートしていない場合が殆どではないかと。やはり両方揃ったお店が蕎麦屋らしくて大好きです。

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お店に伺ったのは日曜日の17時30分。緑に囲まれた入り口から飛び石を伝い玄関へと続くその空間を感じた時、自分の感性にピタッと嵌る音が聞こえました。

玄関を開け、靴を脱ぎ、腰の低いご主人に迎えられ、こじんまりとした店内に進みますと、思わず笑みがこぼれました。綺麗に磨き上げられた板の間に、自然の木を基調にした調度品が、絶妙にマッチしています。そして照明が、かなり良い具合に店内を浮かび上がらせています。お店の雰囲気そのものがおもてなしをしてくれている様です。

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我々は、右手奥の一段下がった造り付けのテーブル席に座りました。座ってからも、改めて店内を見渡し、関心しきりとなっております。こちらも愛想の良い女将さんとお二人で切り盛りされている様子。メニューと一緒にお茶と急須が置かれたのも好感度アップです。

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夕方なので、そば前を楽しむことにし、メニューを開き、極上すり身ちくわ天(270円)味噌おでん(250円)エビスビール中ビン(550円)ウーロン茶(250円)をオーダー。残念ながら、そば屋のそば出し卵焼き(360円)は終了とのこと。それにしても、お値段がお手頃です。お蕎麦は、生粉打ちせいろ(820円)せいろ(670円)をオーダー。

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先ずは、飲み物から。味噌おでん、ちくわ天とやってまいりました。

ここで女将に話を伺うと、開業34年になるそうで、区画整理で場所もちょっとだけずれて、今のお店に建て直して8年。しかし8年経つとは思えないほど綺麗にされています。やはり、人それぞれ持って生まれた性分とでも言いますか、毎日の積み重ねが大切なんだなと。神経の大まかな人は、食べ物屋さんには不利ってことですね。

そろそろお蕎麦を準備しても宜しいですか?との声が掛かり、お願いしますと答えてから5分ほどで、せいろ、生粉打ちとやってまいりました。こちらの蕎麦は、石臼で毎日挽いておられるそうです。

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まず、二つの蕎麦に共通するのが、薄い蕎麦色をしていること。そして優しい弾力を持った柔らかな蕎麦であること。細く打たれた麺の繋がりが良いことです。
柔らかいと言って麺の表面までヌチャっとしたお店も有りますが、こちらはあくまで、表面はプリッとしています。

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二八のせいろはツルッと手繰られ、プリッとした表面で、全体から優しく跳ね返してきながら、プッと切れる。細打ちのそれがやや不揃いのため、かえって歯ざわりにアクセントがある様で、これは美味しいです。

image生粉打ちについては、この9ヶ月あまりで30軒を超える食べ歩きをしましたが、その中で一番柔らかでしなやかな腰を持った十割蕎麦だと思います。香りも歯触りも二割り増し。繋がりも良し。十割らしい歯応えも併せ持っています。これは美味い!

この段階で、未だ辛汁の味も利いていません。このままでは、蕎麦だけを全部食べてしまいそうです。そこで、ちょっと利いてみますと、微かな酸味を持ち、サラッとしたものです。二八、生粉打ちと、それぞれチャッと付けて頂きます。繊細な蕎麦と良く合っています。

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白い陶製の蕎麦猪口で透かして見る色合いに、キリッとした味の良さが見て取れます。

ここで、かけそば(720円)を注文。

蕎麦湯は、サラリとしたトロミのある物で、釜湯?にしては加減がほど良いです。

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蕎麦湯を楽しんでおりますと、かけそばがやってまいりました。三つ葉がのっております。薬味に刻んだ海苔と長ネギです。かなり抑えられた味の甘汁に放たれた二八は、上手に打たれた蕎麦の常で、直ぐに伸びることもなく、甘汁を含んでホロッとなった蕎麦が美味しいです。甘汁に、もう少しアクセントがあればなお良しな感じです。

建て直されたとき、少しお店を小さくされたそうで、我々の後に二組のお客さんが入りましたが、店内は半分以上埋まってしまいました。年数を重ね、より目の届く範囲でお客様に満足して貰いたい。私は、その様に理解しましたが、あながち間違ってはいないと思います。
お会計のとき、ご主人が「雨の中来て頂いて有難う御座います」と、腰を低くされご挨拶を頂きましたが、今夜頂いた蕎麦は、まさにそんなご主人の様に優しく、そして三十有余年の矜持を持ったものでありました。

門を出て振り返りますと、思わず写真を撮りたくなる様な雰囲気を醸し出しています。店内同様、ライティングの妙とでも言いますか、これは夕方に来店したのが大正解となりました。
最後まで、そのおもてなしのセンスの良さに、相方と感心しきりとなりながら車に乗り込みました。

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一、お店の雰囲気を味わう 9/10
二、冷たい蕎麦だけを味わう 17/20
三、蕎麦つゆを付けて味わう 17/20
四、温かい蕎麦を味わう 16/20
五、蕎麦湯を味わう 3/ 5
六、蕎麦の値段 8/12
七、技術とサービス 12/15
 合計 82/100

手打蕎麦  よりや

042(973)9008
埼玉県飯能市川寺484-9
西武池袋線飯能駅より徒歩17分
営業時間 11:00~14:30 17:00~20:15
定 休 日 毎週火曜日 第一・三月曜日 他の月曜日は昼のみ営業

2016年8月28日

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