日高市 奈佳一

行列の出来る高級大衆店

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2020年の東京五輪では、ゴルフが競技種目になっているそうです。その会場として予定されているのが、格式高く、名門として誰もが認める霞ヶ関カンツリー倶楽部です。ここにご紹介するお店は、そのゴルフ場の直ぐそばに在ります。ググってみますと、グルメサイトやブログではかなりの高評価を受けているようで、期待を膨らませての初来訪となりました。

店内に靴を脱いで入りますと、案内待ちの先客が3組程待っておりました。店内は、板敷きの採光を多く取り入れた明るい雰囲気で、カウンターと大きなテーブルがあります。ただ、残念なことに大きな窓から見えるのは、圏央道の遮音壁だけですが。

注文は、並そばと田舎そば、そして変わりそばを盛り合わせた三色そば(1250円)とかけそば(840円)です。当日の変わりそばはさらしなでした。

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先ずはさらしなから。かなりの細打ちで、若干切り方の乱れが気になります。しなやかで張りがあるような食感は、細く仕上がった切り方によるものと思います。噛んでいきますと甘みはまずまず。また、細いだけに辛汁との絡みも良くスッスッーと入ります。ただ、麺本来が持っているべき特性での、しなやかさとか張りとかコシが伝わって来ているのではない気がします。若干強張った感じがするのもその為かと。(写真の笊は、かなり小振りです。蕎麦猪口と比べて下さい。)

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次の並そばは二八だそうです。この日は忙しかったらしく、本来なら時間差で持って来られるらしい田舎そばも一緒に配膳されました。気を取り直して二八から頂くことに。色味はかなり薄く、ホシもかなり薄めです。さらしな程ではないですが、やや細打ちのそれは、ごく普通の味わいでした。滑かさや、張り、そして喉越しはまずまずだったのでしょうが、個性的な蕎麦に前後を挟まれて、私自身が上手に味わえなかったのかも知れません。

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田舎そばの仕上がりは太打ちで、そして色味は黒っぽく微かにホシが入っています。硬くしっかりとしているそれを箸で口に入れても、ツッツッと出来ずにもぐもぐと食べます。辛汁少量派の私の場合、蕎麦猪口の中に押し付けないとつゆが付かないくらい、原型を保っています。噛んでいくほどにらしさが味わえる仕立てを狙ってのことと思いますが。同じ挽ぐるみとはいえ、どの様に、何処まで挽くのかが肝心なんだと思いました。この三色そばは、師匠筋にあたる喬仙坊さんでも看板メニューの一つとなっているようです。

この個性豊かな三種もりのお供となる辛汁ですが、出汁感はまずまずで良かったんです。が、どこかにアクセントを付けるでもなく、これはバリエーションのある蕎麦を味わうには平均的にとのことなんでしょうか。この辺りも、メッセージは伝わってきません。

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三色そばに添えられて来た薬味は良かったです。大根おろしに長葱に山葵。何れも風味あがり、それぞれが生き生きとしていました。(こちらは二色そば(890円))

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さて、かけそばがやって来ました。全体を言えば、これが一番良かったです。甘汁の中でもコシを保ちつつ、ホロホロッと、そして次第にふっくらとしていった麺の具合がまずまず。会計時に確認をしますと、やはり同じ二八でも打ち方を変えているそうで、並そばよりは太めの仕上がりでした。甘汁は、何処かにアクセントを付けるでもなく、バランスよくしっかりと味を持たせていました。最後まで飲み干した時、ギリギリ塩味が強いかなと感じる寸前の仕立てでした。

冒頭に書いた通り、立地的には素晴らしい場所に在ります。そうです。名門ゴルフ場銀座の真っ只中なんです。霞ヶ関、東京、日高、久邇、飯能などなど、日本の高級食文化を支える方々が、プレー後に健康志向にあやかって蕎麦で接待をする。それは営業時間からも如実にうかがえます。VIPの味覚を満足させるのに充分な味と、平均以上の高級感を持てる価格設定になっているのが功を奏しているようです。(天ぷらなどは、他の店では見ないほどお高い。)その文化を支えていくのに、その方々の財力が必要不可欠なのは事実ですが。

メニューはかなりバラエティーに富んでいて、それだけでも大変なことは想像に難くありません。押し寄せるお客さんとの折り合いを付ける為に、このスタイルに落ち着いたのかなと思いました。

喬仙坊さんは一茶庵系だそうで、もう二十年程前ですが、足利の本店や、鎌倉一茶庵に伺った時の凛とした空気を懐かしく思い出し、また鎌倉にでも足を伸ばそうかと思いました。

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こちらの店の近くには、世界一のウインナーとの評価を獲得したサイボクハムも在り、そちらも大変な混雑ぶりで、さながらグルメスポットの様相を呈しています。
サイボクハムを訪ねながら、お昼はこちらのお蕎麦屋さんで。中々にリッチな気分に浸って、満足度一杯の一日になることと思います。

一、店の雰囲気を味わう 7/10
二、冷たい蕎麦だけを味わう 14/20
三、蕎麦つゆを付けて味わう 14/20
四、温かい蕎麦を味わう 16/20
五、蕎麦湯を味わう 3/  5
六、蕎麦の値段 6/10
七、技術とサービス 11/15
合計 71/100
 手打そば處 奈佳一

042(985)6511
埼玉県日高市下大谷沢296-25
圏央鶴ヶ島ICより車で7分
営業時間 11:30~19:00  6月〜9月20:00
定 休 日 毎週月曜日と第1・第3火曜日

2016年2月28日

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